東洋医学では人体が気・血・水で3つの要素で構成されており、これらの量に過不足がなく、これらが滞りなく体内を循環している状態が健康と考えています。ちなみに気は、エネルギーで実体がなく、体を温めたり、極端な気象条件やウイルスなどから体を防御したり、内臓(東洋医学では五臓六腑と言います)が働く原動力になったりします。血は、現代医学の血液とほぼ同じであり、全身を栄養します。水は血以外の体液(リンパ液、汗、涙、唾、尿など)であり、体を潤す働きがあります。気や血が体内を隈なく循環するルート(通路)が「経絡」であり、主要な経絡が全身に14本あります。経絡は体表だけでなく、内臓にも巡っており、何らかの原因で経絡が詰まったり、内部を流れる気・血に過不足が生じたり、内臓に異常が起きたりすると、体表の経絡上に「ツボ(正式には経穴)」と呼ばれる反応点が現れます。つまりツボは、常に体に存在するものではなく、心身に何らかの不具合がある時に出現する「生体スイッチ」なのです。なお、唯一常に存在するツボとして「おへそ」がありますが、生命の根源であるおへそは、神闕(シンケツ:神の宮殿の門)という大そうな名前が付けられ、古くから東洋医学で重要視されてきました。当サロンでは、おへそを診察や施術に積極的に活用し、施術の効果や漢方薬の処方選択の精度を高めています。
悠久の歴史の中で培われた古典的な鍼灸は、鍼灸師が診察で問題のある経絡を特定し、患者様の肌(体表の経絡)に直接触れてツボを的確に捉え、髪の毛程度の細さの鍼(はり)をツボに当てたり、刺したり、ヨモギを精製した艾(もぐさ)でお灸をしたりして適度に刺激し、生体スイッチをONにすることで、心身の不具合を解消する施術です。現在は、現代医学の解剖学に基づき、筋肉や筋膜、神経などをターゲットとして施術を行う現代医学的な鍼灸や、美顔などの美容を目的とした美容鍼灸も盛んに行われています。当サロンでは、特定の施術方法にこだわらず、患者様やお客様の症状やニーズを考慮して、その方に最適な鍼灸施術を提供しております。
鍼というと真っ先に注射を連想し、「痛い施術」と思う方も多いでしょうが(私も昔はそうでした)、当サロンで使用する鍼は、髪の毛程度の非常に細いものが大半であり、坐骨神経痛などの特定の疾患を除き、浅く刺すことで対応しますので、痛みはほとんどありません。テレビや動画で長い鍼を見て「怖い」と思われるかもしれませんが、ツボは比較的浅いところに出現することが多く、腰やお尻を除き、深く刺すことは稀です。長い鍼は、鍼を浅く刺した後、その“たわみ”を軽妙な刺激に利用するのです。なお、鍼の感受性にはかなり個人差がありますので、敏感な方には鍼先を皮膚に当てて刺さない「接触鍼」や、鍼先が丸く刺すことができない「てい鍼」を使用します。お灸は、ツボや冷えた部位に熱刺激を与えることが目的のため、熱さは感じますが、当サロンで使用するお灸は大半が皮膚との艾の間に空気や塩、生姜の切片などを挟む「間接灸」であり、熱さを感じた時点でお灸の場所を移動させるため、火傷のリスクは極めて低いです。なお、関節に溜まった水の排泄を促すなど、大きな施術効果を求める場合は、米粒程度に捻った艾を皮膚上で燃やす「直接灸」を行うこともあります。当サロンでは、お灸の煙や匂いを敬遠される方に配慮し、原則として無煙無臭の炭化艾を使用しますので、髪や衣服にお灸の匂いが付くことはありません。おへそ、お腹、腰、仙骨などに行う温灸(冷えた部位を温めるお灸)や、腰や下腹部などに行う灸頭鍼(ツボに鍼を刺し、その鍼の末端にお灸を付けて燃やす方法)は大変心地良いので、女性に人気があります。
鍼灸は、現代医学を補完する代替医療として中国や欧米諸国などで盛んに研究されており、WHOは臨床経験に基づく鍼灸の適応症として以下の疾患を挙げています。
神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
小児神経症(夜泣き、疳の虫、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善
関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
-その他の効果-
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
気管支炎・喘息・風邪および予防
体表から鍼やお灸でアプローチする鍼灸は、運動器(筋肉、筋膜、関節など)や末梢神経のトラブルに効果を発揮しやすい傾向がありますが、頭痛や生理痛を含めた「痛み全般」に有効性が認められています。また、経絡を通じて内臓の機能を調整する効果や、ホルモンや自律神経の乱れを補正する効果もあります。つまり、運動器以外のトラブルでは、器質的な疾患(人体の構造に問題が生じた疾患)は効果が得られにくいのですが、機能的な疾患(ホルモンバランスや自律神経の乱れなどで、本来の機能が正常に働かない疾患:婦人科疾患や胃腸の不具合など)には極めて有効な手段となります。また、ストレスなどで心身の不調が生じた場合にも、鍼灸は効果を発揮します。
その他、疳の虫(小児神経症)など子供特有の症状に対する小児鍼(鍼を刺すのではなく、皮膚を擦る)や、美顔を目的とした美容鍼などの施術もあり、鍼灸の可能性は広がりを見せています。
※当サロンで使用する鍼は、刺さない小児鍼やてい鍼を除き、すべて使い捨てタイプの鍼(ディスポーザブル鍼)を使用しています。また、すべて自費による施術となり、健康保険での施術は行っておりませんので、ご了承下さい。
当サロンの特徴
- 各時間1人だけの完全予約制なので、ゆったりお過ごし頂けます
- 施術前には必ず問診を行います
- 漢方薬店を併設していますので、施術との組み合わせでより高い効果が期待できます
鍼灸施術の流れ
1.診察
必要な方は施術着に着替えていただき、理学検査、脈拍・血圧測定、診察(東洋医学的診察と必要な西洋医学的診察)を行います。
※東洋医学的診察には、問診、望診(全身と患部の視診)、舌診(舌の表面と裏面の視診)、脈診(手首の動脈の触診)、腹診(お腹の視診と触診)、切経(手足の経絡と患部の触診)があります。必要に応じて行う西洋医学的診察には、胸部や腹部の聴診、酸素飽和度の確認、神経学的検査などがあります。
2.施術
診察の結果に基づき、原則として本治法(病気や不調の根本原因への施術)と標治法(症状への施術)を行います。
3.施術の効果の確認
※診察のうち必要なものを再度行い、患者様の自覚症状の軽減度と合わせて施術直後の効果を確認します。
なお、鍼灸の効果は数時間後~翌日に現れることもございます。
4.お着替え、会計、お茶のご提供、次回予約など
お疲れ様でした。施術後にお茶をご用意しております。また1階にパウダールームがございますのでごゆっくりお支度下さい。
お会計は施術室内で行いますのでご了承下さい。
やすらぎサロン
店舗情報
〒250-0866 小田原市中曽根52-2
0465-43-6625
小田急小田原線「富水」駅より徒歩約7分
駐車場2台あり
営業時間
定休日:毎週月・火曜日
水~金・土・日:10:00 – 19:30